すい臓分泌の亜鉛、インスリン供給に関与-順天堂大 綿田教授 藤谷准教授
肝臓でのインスリン分解の抑制に亜鉛が関与しており、その膵臓からの分泌に関わる亜鉛トランスポーターの多型による影響を明らかにした論文です。
近年、膵β細胞のインスリン分泌顆粒内に亜鉛を汲み入れる「亜鉛トランスポーター((SLC30A8 / ZnT8)」のヒトの遺伝子の「一塩基多型」により、その機能が低下すると糖尿病の発症リスクが高まることがゲノム相関解析より報告された。
ヒトにおいてZnT8遺伝子は一塩基多型により2つのタイプがあり、その内、機能が弱いほうのタイプを有するヒトでは、マウスと同様に肝臓でのインスリンの分解が亢進し、全身に送られる末梢血中のインスリン濃度が低くなってしまう。それゆえ、正常な人たちと同じ程度のインスリン量を保つためには、膵β細胞がより多くのインスリンを分泌する必要があることがわかったのである。すなわち、遺伝子変異による亜鉛の分泌量の低下が、インスリンを分泌する膵β細胞に慢性的に過剰な負荷をかけ、2型糖尿病のリスクを高めている可能性があるというわけだ。
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2011年のこの雑誌のインパクトファクターは13.069です。
2012年は若干下がっています。
主著者は田蒔基行先生、責任著者は藤谷与士夫先生です。
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