ダウン症児の白血病遺伝子発見-弘前大 伊藤悦朗教授
ダウン症の赤ちゃんの5~10%には、血液の細胞が異常に増える「一過性異常骨髄増殖症」(TAM)がある。多くは自然によくなるが、約20~30%は3年以内に急性巨核芽球性白血病を発症。死に至ることもある。
研究チームはTAMか白血病を発症したダウン症の子ども90人の遺伝子を解析。いずれも血液細胞の増殖に関わる遺伝子に変異があることを確認した。また、白血病を発症した子の65%は、細胞分裂に重要な役割を果たす「コヒーシン複合体」の関連遺伝子に変異があると分かった。
ダウン症の人は、21番染色体を通常より1本多い3本持っている。研究チームによると、21番染色体上にも血液細胞の増殖に関連する遺伝子が存在するため、同様の働きを持つ遺伝子の変異が偶然重なることでTAMを発症し、さらに変異が起きると白血病に進むとみられるという。
この新聞記事のもととなった論文はこちらです。
この論文では高速シーケンサー(次世代シーケンサー)を持ちて患者ゲノム/患者エクソームを調べ、原因遺伝子として知られていたGATA1の変異に加えRAD21やSTAG2などのコヒーシン複合体因子、CTCF、EZH2、KANSL1などの変異を新たに見つけています。
掲載誌のnature geneticsはnature姉妹のうち遺伝、遺伝学にフォーカスした雑誌でインパクトファクターは35.209です。
ファーストオーサーは吉田 健一さん(東京大、京都大)、土岐力さん(弘前大)、奥野友介さん(東京大)が等格で並び、ラストオーサーとcorresponding author(責任著者)は小川誠司先生(東京大、京都大)ですが、報道ではもう一人の責任著者の伊藤悦朗先生(弘前大)の名前が挙げられていますね。
プロジェクトのHPはこちらのようです。
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